皆さんは、「催眠」についてどんなイメージをお持ちでしょうか。テレビなどで見た催眠術ショーの影響で、「気が遠くなって意識を失うんじゃないか」「他人に自分をコントロールされそうで怖い」と言う印象をお持ちかもしれませんね。
ですが、意識が失われることはないですし、催眠術師の意のままに操られることもないですし、モラルに反する行為をさせられてしまうこともありません。
催眠は、テレビで見るような「レモンが甘くなる」「腕を曲げられなくなる」といった現象以外にも、不要な思い込みを取り除くことができます。人の見ている世界は、思い込みによって作られています。催眠を使うことによって、望む人生に近づくことができるようになるかもしれません。まずは、催眠の語源と歴史について見ていきましょう。
催眠の歴史は、私たちが思っているよりずっと昔からあるんです。
催眠の言語はどこから来るの?
「催眠」と呼ばれるトランス状態(変性意識)への誘導は古くからありました。例えば、原始時代に狩人たちは、儀式として催眠のテクニックを使っていました。彼らは狩りに出る前、怪我や死への不安を消して勇気を出すため、激しい音楽を奏でたり、踊ったり歌ったりすることでトランス状態になり、気持ちを高めたのです。近代催眠の始まりは、オーストリアの医師であるフランツ・アントン・メスメル(1733〜1815)がその発祥と言われ、その治療法は「メスメリズム」と呼ばれています。
原始時代、古代ローマ、ギリシア..催眠の歴史はかなり古いんだなぁ。
催眠の歴史を辿ってみよう
催眠の歴史について紹介をします。
- ①オーストリアの医師であるフランツ・アントン・メスメル(1733~1815)
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その治療法は「メスメリズム」と呼ばれています。
メスメルは、特異な生命エネルギー「動物磁気」で催眠状態が起きると考えましたが、科学や医学で証明されず、発展には至りませんでした。 - ②1830年代にイギリスの医師が利用
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外科手術の時、麻酔の代わりにメスメリズム(催眠術)を用いたことが報告されました。
- ③1840年までにはイギリス人医師のジェイムズ・ブレイド(1795〜1860)
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メスメリズムの科学的検証を行い、「何か一つのものに集中すると暗示にかかりやすくなる」ことに気づき、「凝視法」という催眠導入法を考え出しました。
- ④ブレイドが「催眠」と名づける
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ブレイドが、ギリシャ神話の「眠りの神」を意味する「HYPNOS(ヒプノス)」から、催眠「hypnosis(ヒプノシス)」と言う言葉を用いたのが、催眠の語源と言われています。
次の章では「催眠」とは何かについてお伝えします。実は私たちは気づかないうちに、催眠に似た状態になっているのか!
催眠術とは一体なんだろう…?
「催眠」については分ったけれど、催眠術とはなんだ?
催眠術は、被験者を変性意識(トランス)状態にした後、暗示をかける術のことです。暗示とは、体験、行動、意識の変性をもたらす言葉です。
催眠中も被験者の意思が失われることはなく、意に沿わないことは実現されません。催眠術師への信頼や、被験者がかかることに協力的であることが大切です。
人は持っている力をセーブしながら日常生活を送っています。その習慣は無意識のうちに、強い思い込みを作ってしまいます。
「早起きが苦手だ」
「人前で話すと緊張する」
「高いところが怖い」
と自分で思っていること、これらは単なる思い込みの可能性もあります。催眠術を使うことにより、それらの思い込みを変えて、ストレスケアや恐怖症の克服をすることができます。つまり、もともと持っている力を催眠によって引き出すことができるのです。
実際に催眠療法を利用している病院でもこんなことが書かれています。
もちろん、催眠導入されても意識を失うことはありません。また、操り人形のように望まないことを無理にさせられるといったことは決してありません。あくまでも、意志の力でコントロールすることができます。
ヒプノセラピーとは?石原クリニック
このようにあなたの無意識の意志の力でコントロールすることができるのが催眠です。
次の章では、近年大きな注目を集めているセラピーのひとつ、催眠療法(ヒプノセラピー)を見ていきましょう。本当の自分への心の扉を開くと言われている催眠療法(ヒプノセラピー)とは、どのようなものなのでしょうか。
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催眠の中でも自己催眠と他者催眠があるのをご存知ですか?
催眠には「自己催眠」と「他者催眠」があります。
自己催眠とは
自分で自分を誘導して自分に暗示をかける方法のことです。一方の他者催眠とは、他者が催眠状態に誘導し、被験者に暗示をかける方法をいいます。
他者催眠とは
催眠者の誘導によって「変性意識(トランス)状態」にいる時のことを言います。これは、周囲の音や物事が気にならなくなって、注意を一点に集中して暗示に反応しやすくなった状態と言えます。
催眠と似た状態というのは日常生活の中で毎日のように起こっています。
「朝、布団の中でぼーっとしている時」
「電車に乗ってウトウトしている時」
「読書やテレビに夢中になっていて声をかけられても気づかない時」
このような時は、「軽い催眠」にかかったと時と同じような脳の状態になっているのです。テレビで見る「催眠術ショー」とはまた違った、意外と思われるかも知れない催眠でできることを、次の章ではお伝えしていきます。
知っておきたい催眠療法
催眠療法(ヒプノセラピー)とは、催眠状態に誘導した後、治療暗示を行うことで、悩みや症状の軽減や解消をもたらすことができるものです。
催眠誘導という手法を使ってリラックスした精神状態になり、普段は意識をしていない深い部分(潜在意識)と向き合いながら、解決の糸口を見つけていきます。
いつもは自覚をしていない記憶や感情を思い出し、過去の傷を慎重に癒し、誤った思い込みを修正することで、本来の自分のあり方を取り戻す療法だと言えるでしょう。催眠中も意識ははっきりしており、話すこともできます。
催眠療法(ヒプノセラピー)は、医療現場でもすでに実践されており、大学の心理学科でも取り扱われることがありますので、科学的に立証された手法だと認識されています。
催眠療法は、「心のケア」ということか!
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催眠と似ている現象が日常生活の中にもよく起こっていると知ったことで、少しだけ身近に感じられた方もいらっしゃるでしょう。催眠の持つイメージを壊して面白さを知るには、実際に自分で体験するのがよいかもしれませんね。
催眠は正しく用いれば、とても効果のある心理療法です。催眠に興味をお持ちの方がいらっしゃれば、催眠を行う目的をはっきりさせて、信頼の置ける専門家に施術をお願いするようにしましょう。